【論題案文言】日本は一定の年齢に達しない者のSNSの利用を大幅に制限すべきである(※)  「SNS」の定義については、必要に応じて試合内で提出・議論すればよい。また、「大幅に制限」の内容は一律に論題で指定せず、肯定側の裁量で検討・提示すれば良いと考える(ただし、日本では多くのSNSで13歳未満のアカウント登録を規約で禁止しているため、プランで少なくとも中学生くらいまでは禁止の対象にしないと、プラン前後の実質的な変化が小さすぎるか)。各チームでのプランの策定にあたっては、海外での先行事例が参考になるであろう。 ※「大幅に制限すべき」ではなく「禁止すべき」でも良いかもしれない。個人的には「禁止」よりも肯定側の裁量の大きい「大幅に制限」の方が議論に多様性が生まれやすく、充実したシーズンになるのではないかと考えている。 【論題背景に関する簡単な説明】 近年、海外で青少年のSNS利用を禁止・制限する動きがある。米フロリダ州は14歳未満のSNSアカウント取得を禁止した(14〜15歳は保護者の同意があれば可)。ユタ州は、18歳未満の者は保護者の同意なしにアカウント開設や夜間帯の利用(午後10時半から午前6時半)ができないものとした。イギリスやフランスにおいても規制強化を模索する動きがみられる。これらは総じて、青少年をSNS利用の弊害―依存症、ネットいじめ、犯罪リスク等―から保護することが念頭にある点は共通しているが、細かい規制内容や規制対象の年齢については各国・各州によって異なっている。 【「論題案の要件」についての検討内容】 1) 原則として、時事問題を扱った政策論題であること →日本においても、青少年のSNS依存の問題はしばしば報じられるトピックであり、十分に時事的である。 2) 主語は原則「日本は」「日本政府は」のいずれかであること →「日本は」を主語とすべき。海外では、州や国が規制の主体となっている。 3) 1シーズン(約3ヶ月)に渡って議論可能な論題であること。すなわち、 3)-1 十分な量の資料が入手可能であること 日本語版のGoogle、CiNiiでの検索結果は以下の通り。 Google 「SNS 禁止 海外」26,600,000件 「SNS 規制 表現」5,300,000件 CiNii 「SNS 子ども」248件 「SNS 学生」912件 論題と無関係なものも相当数含まれているだろうが、SNSと青少年の関係性・影響について取り上げた論文や記事は多く存在しており、論題文言と直接関係しないような資料も含めれば、相当数のエビデンスがあると思われる。 3)-2 ある程度の量の肯定側・否定側議論が作成可能であり、側による勝敗バランスが取れると考えられること(考えられる肯定側議論例・否定側議論例を添付のこと) 肯定側議論例: ・SNS依存からの脱却 SNSの過度な利用は青少年の心身に悪影響をもたらしている。法的に利用を制限することで、こうした悪影響を回避できる。 ・犯罪からの保護 青少年がSNSを経由してトラブル・犯罪に巻き込まれるケースは枚挙にいとまがない。判断能力が未熟な青少年は大人よりも犯罪に巻き込まれやすく、要保護性が高い。 否定側議論例: ・表現の自由の侵害 SNSへの文章、写真、イラストの投稿は表現活動であり、これが制限されることは表現規制である。当人にとっては自己実現の幅が狭まるし、世の情報の多様性も損なわれる。 ・知る権利の侵害 SNSは青少年にとって有力な情報源であり、情報に接する機会が奪われる。それそのものが問題であるし、多感な時期に多様な情報に接することが阻害されると、人格形成・自己実現の幅も狭まりうる。 3)-3 論題と同じ政策が論題使用期間中に実際に採択される可能性が十分低いと考えられること →2024年2月時点で、法律による規制の動きはなさそう。「どちらかというと今行われているのは啓発です。総務省が「上手にネットと付き合おう!」というガイドを作っています。」とのこと( https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/985175?page=4 )。