[2021.06.20] *〇論題提案:参議院の廃止・国会一院制* 「日本は、国会を一院制にすべきである。」 「日本は、参議院を廃止すべきである。」 *1) 原則として、時事問題を扱った政策論題であること* 世界的に新型コロナウイルス感染症が流行した昨今、政府には、一刻も早くこの状況を打開するための対応が求められていました。 しかしながら、それらの対応について日本政府は諸外国と比べても遅れを取っていたとする論、特に政治の「決め方」に問題があったのでは無いかと批判されています。その中では、地方と国との責任問題、野党の弱体化、選挙を意識した対応などが批判をされており、感染症対策という文脈以上に、その「決め方」を取り巻く環境についても再度議論をする必要があるのでは無いでしょうか。 (例えば、 https://news.yahoo.co.jp/articles/a4e7bee52a4c86ef59d2593ab66fe3b9e16c8f6a?page=1 など) 特に、「参議院廃止」という論題は、単にその影響だけでなく、過去の日本の政治改革の文脈、あるいは選挙制度や政党の機能などの文脈からも掘り下げることが出来る論題であるため、現在の日本を取り巻く問題について議論をするには適していると考えました。 また、秋頃には衆議院の解散総選挙が予定されているため、現在の政治への関心を高めるという意味でも今議論をする必要があるトピックだと考えております。 *2) 主語は原則「日本は〜」「日本政府は〜」のいずれかであること* →主語は「日本」となっており、充足しております。 *3)-1 十分な量の資料が入手可能であること(Google、CiNii、NDL-Online等の検索検索結果の添付が望ましい)* Googleで、「参議院廃止」は約 1,020,000 件ヒット Googleで、「一院制」は約 62,900 件ヒット Ciniiの全文検索で、「一院制」は361件ヒット なお、これらのキーワード以外にも、周辺領域である政治改革に関する文献や意思決定方法に関する文献なども考慮すれば、十分な量の資料が入手できると考えております。 *3)-2 ある程度の量の肯定側・否定側議論が作成可能であり、側による勝敗バランスが取れると考えられること(考えられる肯定側議論例・否定側議論例を添付のこと)* 肯定側議論:「意思決定の迅速化」「法案成立の増加」「責任ある政治の達成」「安定した政権運営」等 否定側議論:「拙速な立法」「議論の無い意思決定」「多数派の専制」等 過去にも春期JDAディベート大会で扱われている論題であり、また2009年と2018年のディベート甲子園でも扱われた論題から、肯定否定の議論については概ねバランスするものと考えております。 *3)-3 論題と同じ政策が論題使用期間中に実際に採択される可能性が十分低いと考えられること* 先にも述べたように、衆議院解散総選挙が予定されている関係、またコロナ対応やオリンピック対応が求められている中で、本論題が採択される可能性は非常に低いと考えます。 ============================================================ [2021.07.03 運営コメント] 運営より、以下のコメントをつけさせていただきました。 ---------------------------------------- 「一院制」論題案について 本論題案は、2013年のJDA春季ディベート大会でも採用された論題であり、また、ディベート甲子園でも定番論題となっており、論題としての安定性については申し分ないと思われます。 懸念される点としては、 ・資料の分量 ・前回(2013年春JDA/2018年ディベート甲子園)からの状況変化 があると考えられます。 1) 資料の量について 「一院制」というキーワードを用いると、CiNiiの(「全文検索」ではなく)「論文検索」では、30件、NDL ONLINEの雑誌記事検索では、25件のヒット(2021年7月3日時点)となっており、資料の量としては、若干少ない印象があり、かつ新しい文献が少ない(ヒットした最新の文献が2016年)ことからも、論文・雑誌記事等からのリサーチは若干新鮮味に欠ける印象があります。 とはいえ、ネット上では、比較的新しい資料も見受けられる(例えば、 https://thinktank.php.co.jp/policy/4920/ や、 https://www.tkfd.or.jp/research/detail.php?id=3726 など)こと、これらを手掛かりに海外文献などの調査可能性もありそう(道州制よりは、国際的な研究が進んでいる分野と言えそうです)なことから、分析を深める余地はあるのではないかと考えられます。 2) 前回からの状況変化 こちらは1)の裏返しになりますが、2018年以降に、本論題のバランスを著しく変化させるような分析や資料は、ざっと調べた限りでは見つけることができませんでした。したがって、前回論題採用時と議論傾向は似た状況になると考えられます。すなわち、それほど肯定/否定側のバランスが崩れているとは考えにくいです。 総じて、論題候補として本論題案を残すのは問題ないと考えます。 以上、よろしくお願いいたします。